こんにちは、福岡の社労士、松本です。
マイナンバー実践講座いよいよ実践的な部分に入ってきましたが、ここで各国の共通番号制度についてみていきたいと思います。
この共通番号制度(日本でいうマイナンバー制度)は実は世界では珍しいものではありません。実際日本のマイナンバーがはじまるときに、世界では日本なのにまだ導入してなかったのかという声も少なからずあったようです。
他の国ではこの共通番号制が上手くいっている部分と、そうでない部分があります。こういった例を参考にして今後マイナンバー制度は出来上がっていくことになると思います。
各国の共通番号の状況
アメリカ
実際の共通番号ではありませんが、徴税を目的に社会保障番号という番号が発行されています。実際の運用上は広く本人確認情報として利用され、銀行口座開設、クレジット契約などにも必要になっていて事実上の共通番号として扱われています。銀行では個人の破産履歴の調査や支払い能力調査の為にも利用している現実があるようです。
スウェーデン
銀行、証券会社での口座開設、クレジットカード契約・利用、住宅の賃貸借契約の際の本人確認、携帯電話契約等、番号が無いと生活できないといっても過言ではないほど重要なものになっています。
エストニア
子供が生まれると同時に番号が申請され、番号が付くと同時に出産給付金や児童手当に該当するものが親の銀行口座に振り込まれる仕組みになっています。その後の教育歴の管理や証明なども一貫性をもって処理されており、銀行決済もほぼオンラインで完結しています。番号についている電子署名、電子契約が普及しています。
韓国
韓国での共通番号の利用は世界でもトップレベルの水準にあります。番号をつかって自宅のプリンターから住民票等の証明書類の発行が可能です。税金に関しても医療や教育との連携により、還付や納付を行うことができます。
その他のヨーロッパ諸国
医療・健康面での普及が顕著、患者がカルテ情報を自由に閲覧できる制度がある国もあります。重複検査や重複医療の回避に繋がっています。
やはり問題点も多い
国によって行政でしか使えないようにしている場合と民間利用まで推進している場合に分かれます。やはり利用範囲を拡大した場合の方が問題も多く発生しています。
特に韓国、アメリカではこの番号を利用した犯罪が多いです。その多くは成りすましです。
日本で実施が決まっている「個人番号カード」には顔写真がついています。政府はこの「個人番号カード」に顔写真がついている事、法律で厳格な罰則を設ける事でこの犯罪は防げるとしています。ですが実際にこの本人確認は「人」がすることになります。確実に防げることは考えにくいです。
またこの「個人番号カード」の作成は任意です。カードを持たないという選択は当然に自由で、カードが無いと絶対に処理出来ない仕組みを作ることはできません。
日本の共通番号制度(マイナンバー)は民間利用を前提に始まります。この民間利用どこまで進むか今の段階では予想すら難しいですが、会社で預かっているマイナンバーの重要度が高くなっていくことは間違いありません。