年功序列、終身雇用は維持できるか?

年功序列年功序列賃金、終身雇用、企業別労働組合といった伝統的な日本型経営は戦後日本の経済成長を支えてきた三本の柱です。
しかし1990年代の不況の折、企業はこぞって人事制度改革を行い、徹底したコストカットを行い、超合理的ともいえる経営を目指しました。
その後リーマンショックが起こるまで日本は戦後最長の好景気を記録しました。
ですがコストカットに頼った好景気は企業に働く労働者に大きな変化を生じました。

 

年功序列賃金、終身雇用制度の考え

年功序列賃金、終身雇用制度は一度入った会社が定年まで面倒を見る、ある程度の差はあるものの勤続年数、年齢により安定した昇給が望めます。
若い世代であっても上司や先輩を見て、いつかはああなれるという安心感がありました。
いわいる「就社」という考え方の元、運用されてきた制度です。しかしこの企業に就社すると言う考えは現在40代前半より前の世代の方にはもうあまりないようです。

 

労働者の考え方の変化

1985年、1995年、2005年の新入社員の会社選択理由の意識調査のデータによると
3世代とも「自分の能力、個性を生かせるから」が1位で高い割合を占めています。
やはりどの世代でも個性を尊重して欲しいという願望は強いようです。
顕著に差が出ている項目として
「会社の将来性を考えて」と「仕事がおもしろいから」の二項目があります。

 

会社の将来性を考えて
1985年:約19%
1995年:約17%
2005年:約8%

 

仕事がおもしろいから
1985年:約8%
1995年:約12%
2005年:約21%
*資料元(財)社会経済生産性本部「働くことの意識」調査より
単純に会社を選ぶ理由が会社の将来性から仕事の内容へシフトしているだけにも見えますが、やはり企業に対するイメージギャップが大きいからだと思います。

 

若い世代の考え方

若い世代は就職に対して希望を抱ける要素が少なかった世代ともいえます。長く続いた不況、就職環境の悪化、リストラに関するニュースを聞かされながら育ってきています。
就業形態も契約社員、派遣社員等、非正規社員の雇用形態は既に普及している状態でした。
その世代は世代は企業に属すという考え方から個を活かしたいという考え方に大きくふれているのだと思います。
年功序列、終身雇用制度自体は結束力を高め、長期的なキャリア形成を望める優れた制度だと私は思います。
ですが、一色他に昔の制度がそのまま通用するとは考えられないし、今いる会社を担う次の世代、将来入ってくる新入社員に納得性を持ってもらえる制度修正は必要だと思います。

 

受け入れられる人事制度

人事制度運用は経営者、総務の一番の仕事だと私は思います。若い世代が人事制度の構築に加わっている企業は少ないと思いますが、若い世代の感覚を取り入れた制度でないと受け入れられないというのも事実です.

最近の若い者は・・・という気持ちもわかります。でもそれは昔からです。4,000年前のエジプトの壁画にも「最近の若い者は・・・」と書いてあるくらいですから。
駄文になりましたが最後にタイトルの問いに答えるとすれば「出来ない」と思います。
それは年功序列、終身雇用を労働者自体が望まなくなることが予想されるからです。

 

人事が機能していないと

労働市場の流動性は一昔前に比べて格段に上がりました。優秀な人材は気づいたときには別の会社にいるという時代が既に来ています。
優秀な人材の流出は企業にとってマイナスでしかありません。能力がある人程、より自分がおもしろいと感じる仕事へ、自分の能力を活かせる仕事へと流れていきます。

もちろん相応の報酬も望みます。厳密な年功序列はこの考え方と逆にあると言っていいです。
急な制度改革は経営者が変わる等でもない限り難しいかもしれませんが、経営者、総務、人事からみて優秀なキャリアを持つ人材から辞めていくなど、少しでも感じる場合は制度の検討の時期が来ていると言えます。

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